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きみよりほかにはしるものなき 花かげにゆきてこひを泣きぬ

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土方部長と雪村さん、と鬼副長
まだまだ続きます時間差攻撃!
嘘です。
次のえろで一段落です。

近頃、雪村がおかしい。
定時が近くなると、目に見えてわくわくし始める。
うきうきでも、擬音はなんでもいい。
とにかく、浮き足立ちはじめる。
確かにたまにそうでもない日もあるが、そういう日の何回かに一度は、翌朝浮き足だっている。



「最近、千鶴ちゃんおかしくないですか?」
「だな。定時近くなると妙に嬉しそうだしな」


書類の決裁を貰いに俺のデスクに来ていた原田と総司までそんな事をぬかしやがる。
この二人は勘がいいから気付くのも時間の問題だったろうが。


「ひょっとして、男ができた、とか」
「千鶴にか?・・・その線は微妙じゃねぇか?」
「そう?でも千鶴ちゃん、ここんとこお肌すべすべだけど」


そう言われて、原田と二人して雪村を凝視する。
・・・・・・・・・確かに肌つやはいい気はする。
が、あの雪村が、肌に影響出るようなコトを男とシてるかどうかと言われれば・・・


「「ねえな」」


アイツはまだ男を知らない。
賭けてもいい。
ハモった原田もそう思ったんだろう。
視線を合わせて頷き合う。


「だよね。お稽古ごととかかな」
「それだとほぼ毎日ってのに説明つかねぇだろ」
「よく見てるな、土方さん」
「部下の様子がおかしけりゃ気にするのは普通だろ」
「そうなんですか?僕てっきり土方さんは千鶴ちゃんに不埒な想いを抱いているのかと」
「おいおい、土方さんにようやく訪れた淡い春なんだ、温かく見守ってやろうぜ」
「おい」


不埒ってなんだ、淡い春ってなんだ。
入社以前からの付き合いだけあって、こいつら本当に容赦ねぇな。



「じゃあ二人は、お稽古ごとでもないならなんだと思うわけ?」
「・・・・・・ペット、とかか?」
「お。いいんじゃねぇか。確か春から一人暮らし始めたんだろ?寂しくてなんか飼いはじめたとか」
「ペットか~。ま、男よりはアリかな」


そんなバカな話をしている間に定時になり、いそいそと雪村は帰っていった。
おっと、俺も早く仕事片付けねぇと、千鶴ンとこ行くのがまた遅くなっちまうな。
あんまり遅くなったら寝ろっつってんのに、あいつは起きて待ってるからな。
早く行ってやらねぇと。





と、思った数日後、会社の飲み会の後まさかの雪村の【ペット】との対面が待っている等と、俺は思いもしなかった。


総司に押し付けられた潰れた雪村を担いでマンションまで送る。
体を支えてやりながら鍵をカバンから出させ、受け取って解錠をすれば、出迎えたのは………


「誰だてめぇ」
「てめぇこそ誰だ」


俺にそっくりな男だった。


「歳三さん、ただいまもどりました~」
「千鶴、よえぇんだから外で飲むなっつったろ」
「お仕事ですもん~」


うう~とかなんとか唸りながら、俺そっくりな男にしがみつく雪村。
それを玄関に座らせて、ヒールを脱がせる男。
男の不慣れな手つきに思わずしゃがみこんで手伝ってやる。
そんな俺の目の前では、雪村のスカートが捲れ上がって、際どい所まで見えそうに…訂正する。見えた。
ぞろりとよからぬ熱が込み上げてくる。
セーブしながら飲んだから、そんなに酔ったつもりもなかったんだが、やはり酔ってはいたらしい。
いくら憎からず思っている相手とは言え、そんな下着が見えただけで欲情するなんざ、シラフじゃありえねぇ。


「とりあえず、上がれよ」
「あ、ああ…」


促されて、雪村の部屋へ上がる。
室内はいかにも「雪村千鶴のレイアウトです」と言わんばかりだったが、部屋の中にある机の上には和紙と硯箱が鎮座していて、これが異常空間だと示している。


男は雪村をベッドに寝かせ、台所に立ち、茶を淹れてきた。
そして我が物顔でドカリと座り、一言


「まぁ座れよ」



おめぇの部屋じゃねえだろ!
そう怒鳴りたいのもやまやまだが、ここでふと気付く。

―これが、千鶴の惚れてる土方歳三か。

と…
どういうことだか知らないが、俺は千鶴のもとへ行き、コイツは雪村の部屋へ通っていたらしい。
全く、面倒なことになった。
どうもそれぞれの時代の雪村千鶴に、時代の合わない土方歳三が通っていたとはなんの笑い話だ。


とは言え、俺は何もしていない。
いや、何もしてないわけじゃねえが、最後まではしてない。
が、こちらの雪村千鶴は大人だ。
流石に手を出されたか……


いや、なんで俺が雪村の下半身事情を気にしてんだ。


「で、だ。あんた、千鶴が言ってた俺にそっくりだってぇ上役だろう」
「そう言うあんたは、ガキの千鶴が言ってた、俺にそっくりっていう【新選組副長】さんか」
「…なんでてめぇか雪村を知ってやがんだ?」
「アンタがこっちに来てるみたいに、俺もあっちに行ってるんだよ」


言えば、驚いたように目を見開き、次の瞬間には眉間にシワを寄せて睨んでくる。
お?脈ありか?と思ったのは一瞬。
次の瞬間には


「てめぇ、あいつから妙な話聞き出してねえだろうな」


と来たもんだ。


「なんにも聞いてねえよ。強いて言うなら、あいつが新選組と縁のある医者の娘で、親父が行方不明になったから世話になってるっていうあいつの身の上話だけだ」
「そうか」


あとはてめぇに惚れてることくらいしか聞いてねぇよ。


と言えば、この鬼副長さんはどんな顔すんだろうな。
喜ぶのか、それとも今みたいに眉間にシワ寄せるのか。
見てはみたいが、それは俺が言うべきことじゃない。


「で、男が年頃の娘のとこに通ってんだ。もう手ぇつけたのか?」
「つけるわけねぇだろ。この時代じゃ、あんな小娘に大人の男が手をつけたら犯罪なんだよ」
「らしいな。俺もそれはテレビとやらで見たが…だからって夜中に男と女が会ってお話だけってワケでもねえんだろ?」


ごまかしは利かない、か…
いや、もしくはこいつも同じ穴のムジナ、というやつか…


「そりゃそうだ。別に最後までしちゃいねえが、あいつが年頃の娘らしく、女らしい身体になりたいっつーから、ちょいと弄ってやってるだけだぜ」


言えば、再びきょとりとして、今度は笑いだした。


「なんだよ」
「いや…どっちの雪村千鶴も同じこと悩んでりゃ、どっちの土方歳三もやる事ァ同じだと思ってよ」
「…ってことは、てめえも最後までしちゃいねえってのか?」
「してねえよ」
「冗談だろ。こいつはもう大人だし、上司の俺が言うのもなんだが、気立てもよけりゃ、気も利く。見た目だって悪かねえ。けっこう上等の女だぞ」
「まったくだ。他の男に惚れてなけりゃ、美味しくいただくところだ」


他の男?
雪村に好きな男がいるのか。
そりゃ居てもおかしくはねえが…誰だ。
沖田…はねぇな。
いつもからかわれて泣きそうにしてるし。
原田か?
有り得る。
あいつはモテるからな…
あとは斎藤も無くはないか。


悶々と考える俺に爆弾が投下されたのは、そんな時だった。


「どっかの誰かが見合いするってんで、悲観して酒呷って、俺に慰めさせるたァ、贅沢な女だと思わねえか?」


それは、つまり…


「俺、か…?」
「さあな。覚えがあるならそうかもな」


そこまで言ったら、言ったも同然じゃねえか。
そうか、俺か。
と思えば、胸の内がほっこりしてくる。


「なんだ?俺ァお役御免か?」
「あ~いや、俺と決まっちゃいねえだろ」


そうだ、雪村本人からそうと聞いたわけではない。


「ま、その辺はお前らで好きにしろよ。俺はあいつから話聞かねえといけねえからな」
「おい…あいつは本当に新選組の事なんざ話してねえからな」
「あいつがンな事する女じゃねえことは分かってんだよ。年頃の預かりモンの女が男を連れ込むことが問題なんだよ」
「…俺が偶然転がりこんだんだ」
「そりゃ俺も同じだ。なに、お前が千鶴と恋仲になるなら、もうあいつの床にゃ通えねえだろ」


そうなる、か…
っいや、そうと決まったワケじゃねえが。


「そうなった時には、今度はあいつを慰めてやらねえとな」


思ってもない好展開。
そのまま千鶴とこいつがまとまってくれりゃ、それこそ願ってもないことだ。


「千鶴を、頼んでもいいか?」
「元々、俺が預かってる女だ」


この幕末の土方は気づいてるんだろうか?
最初は娘扱いしていた千鶴を、俺が通ってたと知ってから『女』扱いしている自分に。


「さて…書き物も一通り終わったし、男は来たし…俺は屯所に帰って雪村と話でもするかな」
「お前…この部屋まで何しに来てたんだ?」
「仕事に決まってんだろうが。俺の時代は夜はちゃんと暗いんだよ」


確かに、幕末に比べりゃ世の中明るいだろう。
しかし偶然転がりこんだ女の部屋が夜でも明るいからって仕事しにわざわざ通うのか?


「千鶴には、また明日の夜来るって言っとけ。お前らの報告はその時に聞いてやる」
「あ、ああ…そっちの千鶴には…」
「なんなら、明日一緒に連れてこれそうなら連れてくるか?」


それはそれで、現場が混乱しそうだが頼んでおく。


「じゃあな」


一言残して、仕事道具を抱えてクローゼットの中へ消えていく土方を見送って、ベッドで惰眠を貪る雪村の元へと戻る。


「おめぇは誰が好きなんだよ…」


ほんの出来心で前髪をかきあげてやると、うっすらと雪村が目を開いた。
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