きみよりほかにはしるものなき 花かげにゆきてこひを泣きぬ

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

初恋は甘酸っぱく
千鶴ちゃん高2の春の遠足。
安定の原田先生視点の幼馴染二人。
「初恋をもう一度」の後です。





共学になって二年目。
女子生徒第一号の雪村は2年になり、今年は若干名の女子生徒が増えた。
そんな年の遠足。
集合時間を守るように伝えて即解散。
各々遊園地内で勝手に遊べと投げ出す。
もちろん教師も、見回りをしながらハメを外さない程度に遊ぶ。
俺もそのつもりで、まとわりついてくる1年の女子生徒をどう撒こうか考えながら新八を探して視線をさ迷わせる。

…と、視界に入ってくる土方さん。
傍には雪村。
毎度のことながらからかってくる総司に怒鳴りながら土方さんがスッと左手をさし出せば、雪村が小さな手でその手を握る。
その顔は頬が染まっていて、雪村に心境の変化があった事を伝えているが、総司を睨んでいる土方さんは気付いていないだろう。

―ちと、まずいことになったか?

そう思わなくもないが、二人のことに口を出すのも野暮だし、何より下手に手を出すと焼けぼっくいに…ということになりかねない。
ま、土方さんなら悪いようにはしねえだろ、と結論づけて、手をつないで仲良くマップを見始めた幼馴染を見つめる。
あの人は今日も一日、安定の千鶴サービスデーらしい。

「原田先生…」
「ん?」
「あの、雪村先輩と土方先生って…」
「ああ、雪村が生まれた頃からの幼馴染らしいぞ」
「えっそうなんですか?!」
「別にあの二人やましい事ねえからな?」

そうなんだー。と口々に納得する一年女子。
危ない噂が立つところだったな…

「でも、いくら幼馴染でも手をつないでって…」
「見てりゃ分かる」

俺たちの視線の先には、マップを覗きこんで、土方さんの顔を恐る恐る見ながら一方を指さす雪村。
と、それに険しい顔をしてオデコをぺちんっと軽く叩く土方さん。
相変わらずなのか…

「あれ、何を…?」
「雪村は地図が読めない上に迷子になりがちでな…ことある毎に教頭が付きっきりで地図の読み方教えてんだよ…」
「先輩って」
「方向音痴だ」

ああ…という空気が流れる中、幼馴染二人が手をつないで移動を開始する。
結局、マップは土方さんが持っている。
今回も断念したらしい。

「諦めたな」
「そうみたいですね」
「お前らも諦めて、アトラクションまわれよ~」

言い置いて、さっさとその場を離れる。
気付くのにワンテンポ遅れた生徒達からブーイングが聞こえるが無視する。
ほっときゃ、学園の男子生徒があいつら拾って一緒に遊ぶだろ。
様子伺ってる連中もいたしな。

可哀想なことに、雪村の周りの男子生徒は、幼馴染の教頭と実兄の風紀委員の鉄壁に守られた彼女へ近付くこともできないでいる。
あれでは雪村はまともな恋愛もできないだろう。
それどころか、あの二人の眼鏡に適う男など存在するのか甚だ疑問だ。
ましてや今、どうも雪村は教頭にほのかな恋心を抱いていたように見えた。
あのレベルの男はそういない。
顔も良くて、仕事に対してストイックで、何だかんだ仲間内の付き合いもよくて、雪村に対して滅法甘くて優しく面倒見がいい。
なんていくら雪村が器量良しで人当たりもよくて、誰からでも好かれるような……

「って、なんだ……お似合いじゃねえか」

考えれば考えるほど、あの二人にはお互いしかいない気がする。
いや、雪村は幾らか条件を妥協すれば相手が居なくはないだろうが、おそらく教頭は無理だろう。


が、いくら幼馴染というおめこぼしがあるとはいえ、今は教師と生徒。
職員としては、問題は起こさない方向でお願いしていきたい。


頑張れ、雪村の恋心(初恋な気がする)
頑張れ、土方さんの理性(俺なら、あんな可愛いのに迫られたら無理だな)
スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 月の江. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。