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きみよりほかにはしるものなき 花かげにゆきてこひを泣きぬ

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初恋をもう一度
以前書きました、幼馴染のSSL、ひじちづを使って自分の誕生日を祝ってみました。
当日は実家に帰省してるし、月末は忙しいので、早々に上げちゃいます!
うん、めっちゃフライングですwww
いいんです、どうせ自己満足なんだから!!

ちなみにこの二人、やってることは素です。


「あ、先生」
「おう。いらっしゃい」

ご近所の土方さんのおうちは、担任の土方先生のご実家で。
土方先生は私が小さな頃面倒見てくれたご近所のお兄ちゃんだったのだけど、今となってはそうお呼びするのもおこがましい…ような気がする。
そんなお兄ちゃん、土方先生は私の初恋の人だ。
先生のせいで私は面食いになって、高校生になった今でも彼氏どころか好きな人も出来ないのだと信じている。
これは責任転嫁ではない。

先生のご実家には、私の幼馴染で先生の姪にあたるぬいちゃんがいる…
彼女は子どもの頃から体が弱く、今日も風邪でダウンしてしまったとのメールがきたのでお見舞いに来た、ら、先生がいた。


いや、いてもいいんですけど。
ご実家ですし。
でも大学に進学した時に家を出てから、あまり帰って来ないとぬいちゃんも言っていたのに、どうしたんだろう。

「こっちに帰ってくるなんて、珍しいですね?」
「姉貴に呼ばれてな」
「なるほど」

先生は、昔からすぐ上のお姉さんに弱い。
それはもう、すっごく。
直接頼みにくいことも、お姉さんにお願いしてお兄ちゃんに言ってもらえばOKという按配だった。
ちなみにお姉さんは、これまた近くの従兄さんと結婚したので、たまにスーパーで遭遇したりする。

「ぬいなら部屋で寝てるぞ」
「あ、はい。行ってきます。あ、これお見舞いのプリンなんで、冷やしておいてください」
「…これ、手作りか?」
「はい。体調悪くても食べれるように甘さ控えめに作ってあるので、よかったら先生も食べてくださいね」

多めに作ってきましたから。と差し出せば、両手で受け取られる。

「あとでぬいの部屋にも持って行ってやるから、お前も食って帰れよ」
「あ、うちに帰ればまだあるんで、私の分はいいですよ」
「そうか?」

悪いな。と言って私に笑いかけて、プリンを持って台所へ行ってしまった先生に、一瞬思考が停止する。
ハッと気づいて急いで階段を駆け上がって、ぬいちゃんの部屋へ向かう。
頬が熱い……
土方家は美男美女のおうちだけど、やっぱり先生はその中でも屈指だ…

「千鶴ちゃん、顔真っ赤。今日オジサン来てるもんね」

部屋に入るなり、私の顔を見たぬいちゃんからのコメントで更に顔が熱くなる。
ぬいちゃんはそれこそ昔は私と一緒に「お兄ちゃん」と呼んでいたが、最近は嫌がる先生を面白がって「オジサン」と呼んでいる。
もちろんこれには「こんなイケメンが実の叔父」という、自慢も込められている。
確かに女子高生には自慢に出来る叔父様だと思う。
思うよ!
羨ましい!!
でも叔父さんだと恋愛対象に出来ないからその点はよかった!

とは言っても、先生からしてみれば私は全くもって、恋愛対象外なんですけど。

「千鶴ちゃんって、まだオジサンのこと好きなんじゃないの?」
「そんなことはない、と思う」
「じゃあさ、せっかく男子ばっかりの元男子校に行ったのに、誰かいないの?」
「いないよ、そんな人」
「この人いいかも~くらい、思ったりとか」

ぬいちゃんの言葉に力なく首を振る。
そんな人、居たら真っ先にぬいちゃんに相談してるよ…

「ま、あのオジサンが初恋の人じゃね~」
「私たちが物心ついた頃の先生って、丁度いまの私たちと同じくらいでしょ?同級生見ても全部比べちゃって…」
「あ~」
「このままじゃダメだと思うんだけど…」
「こればっかりはね~」

そう。
こればっかりはどうしようもない。
だってときめかないんだもん!

その時、ノックもなしにガチャリとドアが開けられて、プリンとお茶を持った先生が入ってきた。

「ちょっと!年頃の女の子の部屋にノックもしないで入ってこないで!」
「お前が男連れ込んでたらノックくらいするけどな。千鶴だったら別にいらねぇだろ」
「いま千鶴ちゃんの恋愛相談してたんだから!」
「ちょっと、ぬいちゃん!」

なんてことを言ってくれるのだろう、この人は!
よりにもよって、先生に!

「あ?なんだ、告られでもしたのか?」
「え?あ~いえ、そういうわけでは…」
「この間、呼び出されてただろ?」
「どうして先生が知ってるんですか!?」
「ちょっと千鶴ちゃん、私聞いてない!」

どうなの、この叔父と姪は!?
ぬいちゃんなんて、目がらんらんと輝いてるし、先生はちょっと……不機嫌?

「なんにせよ、あいつはやめといた方がいいぞ」
「どうしてですか?」
「島女の女と別れたばっかだからな。なんだ、検討中だったのか?」
「お断りしましたけど……教師って、そういうこと知ってるものなんですか?」
「結構知ってる。だから馬鹿やるとすぐに教師にばれるからな。千鶴に関しちゃ、ンな心配はしてないが」

ふっと笑ってぬいちゃんの寝てるベッドに腰を下ろす先生。
あれ?
ご機嫌直ったみたい?

「オジサン、なんで出て行かないの?」
「食器片しに来るのが面倒なんだよ。早く腹に入れろ」

なんて横暴な人なんだろう。
でもこれでもすごく優しいのだ。
現に先生が持ってきてくれたお茶は、私たちの好みに合わせてそれぞれレモンティーとミルクティーになっている。
これができる男なんだろうか…いや、私が赤ちゃんの頃からの付き合いだから、嗜好がバレているだけに違いない。
そうとでも思わないと、余計に男性に対してのハードルが上がってしまう。
そうだ、そうに違いない。
薫だってこれくらいしてくれるもの、お小言付きで。

「で?千鶴の恋愛相談がなんだって?」
「そうそう!千鶴ちゃんこんなに可愛いのに彼氏いないとか勿体無いと思わない?」
「千鶴が可愛いのは否定しないがな…」

何ですと?!
先生いま、私のこと可愛いとおっしゃいましたか?!
なんだろうこれ、夢かな?

「…かといって、色恋ってもんは、焦ってするもんじゃねぇだろ。焦ると変な男掴むぞ」
「オジサンみたいな?」
「あ?俺のどこが変なんだよ」
「だって、大学生の頃、いっぱい女の子がいるから帰ってくる暇がないんだって、叔母様が言ってたし」
「!姉貴の奴…余計なこと教えやがって…」

本当だよ…
彼女が(複数)いたのは知ってるけど、そういうリアルな家族内の情報は知りたくなかった…

「あの…込み入った話になってきたし、私帰るね?お邪魔しました、お大事に…」
「え、ちょっと待って!オジサン、そこの紙袋取って!」
「ああ?これか?」

先生が手に取った紙袋は、ぬいちゃんの手に渡って直ぐに私の手元へ。

「お誕生日おめでとう。ごめんね、呼びつけちゃって」
「ううん!ありがとう!!」
「…今日、千鶴の誕生日か?」
「はい!」

肯定すれば、先生は「しまった」という顔をして少し考え、口を開いた。

「千鶴、ちょっと付き合え」
「え?はい…」
「ぬい、ちょっと出てくるから、姉貴が来たら言っといてくれ」
「は~い。いってらっしゃい。千鶴ちゃんも、また今度ね」
「うん。またね」

ベッドの中からひらひらと手を降るぬいちゃんに見送られて玄関へ向かい、ブーツを履いて先生を待つ。
先生は途中でリビングに寄って、コートを羽織りながら玄関に向かってくる。

うっわ、かっこいい。

コートを羽織る仕草一つとっても、すごくかっこいい。
それはもう、憎らしいほどだ。

「お前、そんなヒールがあるブーツ履いてんのか」
「…そんな言うほど高さはないですけど…」

たかだか数センチのヒールで、そんなこと言われるとは思わなかった…
これくらいなら、みんな履いてると思うけど。

「高校生がそんな背伸びしてどうすんだ」
「だってこれ、可愛いし…履きやすいし…薫からの誕プレだし…」
「悪かった…ンな泣き顔すんなって」

……泣いてないもん。

小さい頃のように、先生はぷにっと私の頬をつまんで笑わせようとする。
もう、そんなのじゃごまかされませんから。
そう思って頬を膨らませれば、今度はつつかれた。

「ぶすくれんなって。ほら、行くぞ」

なんだかんだと、私には優しいお兄ちゃんだった先生は、あの頃のように私の手を取って歩き出す。

「どこに行くんですか?」
「とりあえず、駅前かな」

駅前に何しに行くんだろう?

先生に手を引かれてたどり着いたそこは、地元じゃちょっと名のしれたケーキ屋さん。

「ケーキ、ですか?」
「そう。ほら、食いたいもん選べよ」
「え?私の好みでいいんですか?」
「いいんだよ。お前が食うんだから」
「え?どうして?」
「誕生日なんだろうが」
「え~!いえいえ、いいですそんなの!買っていただく理由がありません!」
「理由だあ?じゃあ、プリンのお礼とでも思って受け取れ」

そんな、プリンだって手作りの、お金がかかったものじゃないのに…
かたくなに動かない私をよそに、先生は次々と注文していき、気がつくと家に向かって歩いていた。
先生の右手には、ケーキの箱。
左手には、私の右手。

「いいって言ったのに…」
「いいんだよ。奢ってくれるって言う男には甘えておけ」
「…来年の先生のお誕生日には、お返ししますからね」
「楽しみにしてるよ」

見上げて言えば、何でもないように返される。
オトナなこの人を、どうにか出し抜きたい。
どうにかできないかと考えているうちに、家の前に着いてしまった。
先生の右手から、ケーキの箱が渡される。

「ほら。心して食えよ」
「はい…」
「薫の分もあるからな。どうせ来てんだろ?」
「はい…」
「じゃあな。誕生日おめでとう」
「…“お兄ちゃん”」

思わず口から溢れる、昔の呼び方。
“先生”と呼んでいないのに、ん?と普通に返してくる彼のコートを引っ張って顔を近づける。
彼の言う通り、すこしヒールのある靴を履いて背伸びをしているから、いつもより近い。
そばに来た彼の顔、頬に唇を触れさせる。


ちゅっと小さな音をさせて、すぐに離れた唇。

「お…」
「ちづッ…おま…「お礼です!」」

先生の言葉を遮って、ありがとうございましたと吐き捨てながら、背を向けて家の中へ駆け込む。
先生の顔を見る勇気などなくて、背を向けたままバタンとドアを閉めれば、リビングから薫が出てきた。

「…何、その顔」
「えぇ?」
「真っ赤だけど」
「な、なんでもないよ!」
「そ?で、それは?」
「ぬいちゃんちに行ったら先生がいて……誕生日だからって…薫と食べろって買ってくれたの」
「あっそ。ちゃんと冷蔵庫にしまっとけよ」
「うん」

私が言うつもりがないのを悟ったのか、薫は深く探らずにリビングへ戻っていく。


どうしよう、あんな事するつもりなかったのに…
ほっぺとは言え、先生にキスしてしまった。


「どうしよう…」

ごめん、ぬいちゃん。
私、嘘ついたかも。

「やっぱり、好きかもしれない」

相手は一回り違う、年上の幼馴染で初恋の人。
そして、学校の先生。
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