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きみよりほかにはしるものなき 花かげにゆきてこひを泣きぬ

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若紫 11
ひじちづにゃー!






「千鶴ちゃん。ちょっとお話しましょ?」
「はい…」


4時間目が終了するや、お千ちゃんにガッシリと腕を捕まれた。
その笑顔が怖いよ、お千ちゃん…




「で、どうなったの?やっちゃった?」


連行された、いつも一緒にお昼を食べる中庭で、ストレートに突っ込まれる。


「お千ちゃん…もうちょっとオブラートに…」
「包もうがそのままだろうが、意味は一緒でしょ?で、どうなったのよ、昨日あのあと…」
「あのあと…」



思い出せば、また顔が熱くなる。
顔から火が出るってこういうことだったんだ。



「あぁ、なんとなく分かったわ。さすが土方さん、こぉっんな可愛い千鶴ちゃんもぺろりと食べちゃうのね」
「ぺろり…なのかな?」
「ぺろりよ、ぺろり」



膝に乗せていたお弁当をベンチに避けたお千ちゃんにぎゅうっと抱き締められる。
そして悪魔の囁きが耳に入ってきた。



「で?気持ちよかった?」
「おっぉぉぉお千ちゃん!?」
「やだ千鶴ちゃん、どもりすぎ!」



私の様子を見てきゃらきゃら笑うお千ちゃんと、顔が熱くて今にも涙が出てきそうな私。
周りから見たら何かと思われるんだろうな。





「でも千鶴ちゃん、よく土方さんとやっちゃったわね。土方さん、いつもいろんな女の子連れてたじゃない」
「うん…付き合おう、とは言われたけど…」
「他の人とはちゃんと切れてるの?」
「わかんない…」
「千鶴ちゃん…」
「お兄ちゃんが何考えてるのか分からないの」
「…千鶴ちゃん、今日はもう午後は授業出ないで保健室で休めば?帰りは送ってあげるから」
「うん…」




ついにポロポロと涙がこぼれだした私に、お千ちゃんが気遣って勧めてくれるので、今日はもうお言葉に甘えることにした。
保健室の先生にも生理痛で情緒不安定みたいだとお千ちゃんが言ってくれたので、すんなりとベッドへと通された。
千姫さまさまだ。





「じゃあ、千鶴ちゃん。迎えに来るから休んでてね」
「ごめんね、お千ちゃん」
「言い出したのは私なんだから、気にしないで。おやすみ」
「ありがとう。おやすみなさい…」






カーテンを閉じられ、簡易の一人の空間が出来上がる。
カーテンの向こうで、先生とお千ちゃんが二言三言話す声が聞こえたが内容までは分からなかった。
まるで私とお兄ちゃんみたいだ。
何か薄い壁が一枚あって、すぐ傍に居るのに相手のことが分らない。
そんなとりとめのない事を考えていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。










放課後、お千ちゃんが持ってきてくれた荷物を持って、先に校門に行って待つ。
少し用事があると言われてしまったから。


そういえば昨日はお兄ちゃんはここに居たんだな…
さすがに今日も来るようなことはないと思うけど。
島女と薄桜高校じゃ、高校の方がおうちに近いから、わざわざ来ないといけないし…




お兄ちゃんは、昨日わざわざ来てくれたんだ…




そんな事に今さら気付いた。



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