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きみよりほかにはしるものなき 花かげにゆきてこひを泣きぬ

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若紫 1
初、ひじちづです。
現代パロで、ベタな幼馴染ものです。
しばらく続きます…







お隣のお兄ちゃんは、私の王子様だった。
小さな頃はいつも一緒で、私に何かあるとすぐに駆け付けてくれていた。
それが来てくれなくなったのは、2つ上のお兄ちゃんが中学に上がってしまってから。
その時から、徐々にお兄ちゃんと私の間には距離が開き始めてしまった。
もうお兄ちゃんとは一緒にいられない。そう確信を持ったのは、お兄ちゃんが家の前で女の子とキスしてるのを見てしまってから。



見てしまったのは偶然だった。
ただ、お兄ちゃんのおうちに用があって家を出たら、お兄ちゃんとその彼女が居た、それだけのこと。
でも小学生の、幼馴染のお兄ちゃんに憧れる私には、それはそれは大事件で。
そのままお兄ちゃんと同じ地元の公立中学に通うつもりだったのを、兄の薫に薦められていた私立の女子校へ進学することに変更した。
幸い、その女子校には仲のいいお千ちゃんも受験することが決まっていたし、学校としても有名私立へ進学する生徒が多いのは願ったり叶ったりだったらしく、私自身そんなにひどい成績でもなかったから受験することは簡単に決まってしまった。


そしてすっかり距離を作ってしまっていた私は、お兄ちゃんに報告もしなかった。
合格したことも、お兄ちゃんとは違う学校へ進学することも。
通うことが決まった島原女子は、その気になれば大学までエスカレートでいける、地元きってのお嬢様校で…きっとこのまま、お兄ちゃんと私の道が重なることはないのだろう…そう思っていた。





「ちづ…島女に行くって本当か…?」

お兄ちゃんが、そう言って訪ねてきたのは、お兄ちゃんののぶ姉さんが、父様に頼まれて私の制服を買いに行くのに付き合ってくれた日の夜の事だった。

「そうですよ。それがどうかしました?」


ああ、私はいつの間にこんな嫌な言い方をする子になってしまったんだろう。
自己嫌悪で泣きそう。


「い…や、俺が中学に上がった時は、俺と同じ公立に来るって言ってたからよ…」



その言葉に、なんだか笑いが込み上げてきた。
彼にとっては、私はまだ彼の後ろをついて回る幼い幼なじみのままだったのだと、明言されたようなものだった。

でもそんなことはない。
ちゃんと知ってるのよ、お兄ちゃん。



お兄ちゃんが、家に人がいない時にカノジョを連れ込んでナニをしてるのかも。



「島女は薫にも勧められてたし、お千ちゃんも行くから」



「そこに俺はいないだろ」
そう言わんばかりの視線を向けられるなか、私は微笑んだつもり。
そして終わりの言葉を告げる。
始まってすら、いないけれど。



「じゃあお兄ちゃん。これからは今まで以上に会うことも減るだろうけど…」


そこまで言って、私が距離を置いていた事に気付いたのか、ハッとした顔で私を見つめる。
そう。
そのまっすぐ私を見てくれる瞳が好きでした。


「さようなら」


私の初恋。
あなたは私の王子様じゃなかった。









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